団長挨拶

「通訳抜きの対話:世界と、地球と、人と自分と」

皆さんと一緒に望星丸に乗り込むことになりましたが、私自身研修航海への参加は初めてですのでいささか緊張しております。しかし、乗組員の皆さんはもちろん、副団長を務められる髙嶋先生はじめ役員の先生方には多くの頼りになる経験者がおられます。ですから私はまさに「大船に乗った気持ち」でいられるというわけです。

私はこれまでに仕事で、プライベートで、比較的多くの国を訪れていますが、それにしても船でのこれほど長い旅は初めての経験です。今度の研修航海は42日間です。なぜこんなに長いのでしょう?

私は研修航海にはいくつかの謎というか秘密というか、分からないことがあると思っています。その一つがこの長い日数です。2週間3週間じゃあ足りないということなのですね。それは何故なのでしょう? 企画委員長の松前義昭先生(理事長)は「人生を歩む上で本当に大切な、人との関わりや生きた知識を得るためには、非効率に思えても十分に時間を掛けて、自らの努力と経験、考察を積み重ねるしかありません」と記されています。

この長い日数の秘密を解く鍵はここらへんにありそうですが、私の脳裏には本学創立者の松前重義先生が初めてヨーロッパに渡られたとき、船の旅で40日間かかったという事実が引っかかってもいます。

秘密と言えば、この研修航海がもうすぐ半世紀になろうとするまで続いてきたのは何故なのでしょう? 大学は、航海にはもちろん、その準備にも莫大な教育資源と時間を投入しています。大きな意義を認めているからにほかならないでしょう。

もう一つの秘密は、これまでの研修航海参加者がほぼ口をそろえて楽しかった出来事や経験を語ってくれますが、語り尽くせないこと、言葉ですくい取れない多くのことがあるとも言います。そこにこそ何か大きなこと・大切なことがあるような気がします。

さてこうした謎を解き明かしに、私も皆さんと一緒に期待と好奇心を膨らませて望星丸に乗り込みたいと考えています。

山田清志学長は「研修航海は究極のチャレンジ・センター科目である」と言われましたが、その意味するところは自ら考え、話し合い、目標を立てて、協力し、成し遂げることだと思います。世界に身を置き、自分を見つめ、鍛え、人生観を養うことです。

皆さんの大いなるチャレンジに期待しています。

学校法人東海大学第48回海外研修航海研修団団長
東海大学国際教育センター留学生支援教育部門 教授
谷口 聡人