団長挨拶
|
2008年のリーマン・ショック以来、世界経済は大きく揺らぎ始め、貿易における保護主義への動きや自国通貨の切り下げ、さらにはアジアにおける覇権争いなど、私達の身の回りは混沌としたものとなっています。このような中で、私達は今何を成すべきなのでしょうか。
第42回海外研修航海のテーマは「洋上から見つめなおそう ~地球の未来と今の自分~」となりました。これは本研修団役員が集いテーマを検討した結果で、皆さんに求めるメッセージです。東海大学は「調和のとれた文明社会を建設する」という理想を高く掲げ、歩み続けることを使命としていますが、そのためには、明日の歴史を担う強い使命感と豊かな人間性をもった人材を育てなければなりません。海外研修航海には、そのためのプログラムがすべて含まれていると言っても良いでしょう。自ら考え、集い、挑み、そして成し遂げるという力を育成する内容が、海外研修航海には備わっています。その上で、私達団役員は「洋上」から世界を、「洋上」にいる自分を見つめ直し、これよりの地球の姿を、また自分が今何を成すべきなのかを、皆さんと共に考えようと願うものです。
今回の海外研修航海では、パラオ共和国(コロール)、パプアニューギニア独立国(ラバウル)、ニューカレドニア(ヌメア)、ミクロネシア連邦(コスラエ)の4カ国を訪問します。いずれも自然環境が豊かで平和な国々ですが、わが国とは異なった文化を持っています。海外の諸文化・諸事情に触れ、加えて、ヌメアでは当地の大学との交流も計画されていますので、同世代の海外の学生達と大いに交流を深め、国際的な視野に立った世界観・人生観の確立に役立ててください。
海は世界に通じるものです。世界を見たいと言って海に乗り出した若者がどれほどいたでしょうか。しかし、海は危険も伴います。その上に浮かぶ船の生活は、非日常的なものとなります。揺れる中で、狭く閉鎖的な中で、さらには振動や騒音の中で、多くの仲間と生活を共にします。船内生活では克服しなければならないことがたくさんありますが、海外研修航海に参加すれば「一生の友を得る」と言われ続けています。その理由を、皆さんはこの研修航海で理解することになります。
このように考えますと、この海外研修航海はきっとすばらしいものになるでしょう。最後には、一回りも二回りも大きくなった自分と出会えるものと思います。