|
海洋は詩情をそそる しかしその中には無限の資源がある
若人よ 外に領土を求めず 海洋に資源を開発しよう
若人よ 戦争による拡大よりも 平和な科学によって
領土権なき無限の宝庫を征服しよう
若人よ 海国日本は世界最大の資源国である
地球の三分の二は海洋であるからである
来れ若人よ 動と静との詩情を求めて
世界の平和と資源の開発のために 科学によって人類の幸福を拓かう |
|
東海大学
海洋調査研修船
望星丸
船長 河内 尚 |
|
これは、東海大学創立者である故松前重義博士が海洋学部開設にあたって詠まれた詩であるそうだ。 |
|
この詩を目にするたびに思うことがある。確かに日本は四方を海に囲まれており、ほとんどの国民が海と接する機会を少なからず持っていて、海は大変身近に感じるものであり、多くの国民はたいてい「海が好き」と言う。しかし、その海が好きという感情は、あくまでも陸にいてか、あるいはせいぜい海岸から数マイルにあっての話である。残念ながら「海が好き」と答えながらも多くの方々はその好きな海に乗り出してみようとは考えないのである。その「国民性」ともいえる感情に対して、一抹の寂しさを感じずにはいられない。 |
|
そのような国民性?の中、このたび何かしらの思いがあって、この海外研修航海に参加してみようと決意された学生諸君には、たとえどんな理由にしろ、とりあえず「揺れる船」で海に乗り出してみようと考えたことに対して大いに敬意を表するものである。 |
|
海外研修航海では、洋上講座であるとか洋上クラブといった予め組まれた研修プログラムが与えられますが、決してそれらをこなすだけの研修に終始してほしくはないと思います。自分自身で何かを見つけてください。海をじっと見つめていると、波打ち際で見る波とは異なった波が見えてきます。船上で夜空をじっと見ていると、都会で見る星とはまったく違った星の瞬きが見えます。何一つ遮るもののない洋上で空を見ていると、陸で見る雲とはちょっと異なった雲が見えてきたりします。せっかくの機会ですから、陸にいるときとは違った何かを自分自身で発見してみてください。そしてできれば少しだけ、その発見を基にそのことについて詳しくなってみて下さい。乗組員一同決してサポートを厭うことはありません。気軽に話しかけてください。そして、航海を終えて陸上に戻ったら、海にあってしか体験できない土産話を、陸で見る海しか知らない方々にいっぱい話して聞かせてあげてください。 |
|
最後に、研修航海に参加される研修学生諸君にとって、この航海が大変有意義な航海となることを心よりお祈りしています。 |