蒼 天 碧 海
 
  東海大学 海洋調査研修船 望星丸
船長 (教授/Ph.D)

荒木 直行
 
 太平洋、その大いなる海。ある時は、荒れる海。続々と押し寄せる怒涛、誰しも耐え難い船酔いの苦しみと共に、まだ見ぬ南海の楽園の島々への切望の中に、一路目的地目指して、荒れ狂う大自然の猛威と戦いながら、壮大にうねり続ける巨浪を乗り越えてゆく船。ある時は、湖のようになる海。海面は、眩いばかりに輝き、真綿色した積雲が、鏡のような紺碧の海に写し出され、想像もつかぬ沈黙の中を、ただひたすら白い航跡を残して走り続ける船。
 海には、各種の生物資源や鉱物資源が、人類の至宝として、無尽蔵に眠っていますが、様々な人と人との複雑な人間関係に、一喜一憂する時、海を見つめて「若き日に汝の思想を培う」のも、もう一つの、目には見えない有益な資源であると思います。
 そして、そこから生まれる熱い友情は、一生変わらぬ固い絆で結ばれ、実に味わい深い真実の友が、できると思います。又、船内で繰り広げられる数々のイベントにおいて、若々しく、みずみずしく、躍動感溢れる研修学生の皆さまの行動を拝見していると、青春とは、素晴らしいもの、青春とは、まさしく、燦々と降り注ぐ太陽の光のもとにあるもの、という感じが致します。
 ある船会社の船をチャーターして航海するという借り物の航海ではない、自分達の大学の、自分達の海洋調査研修船(第1種国際旅行船、ID級耐氷構造船等の資格も持つ。)で、自分達の航海をする、という本物の航海。
 皆様方も、これからの長い人生の中で、この数十日間の航海が、いつまでも、本物として、燦然と光り輝いていることを、そして、迸るような、愛とロマンと冒険に満ちた素晴らしい第33回海外研修航海であることを、心からお祈り申し上げます。

群青の 海に憧れ 時の涯て